開業医の成功法則
病院・クリニックの立地・物件の選び方

クリニックの経営を軌道に乗せるためには、実は土地や物件にある程度こだわることが大切です。今回の記事では、立地選びのコツや物件の種類ごとの特徴、都心と郊外それぞれのメリットとデメリット、後悔しないためにおさえるべきポイントなどをお伝えします。

また、近年増加している居抜きや承継開業についても解説します。コストを抑えたい方などにおすすめですが、特有の注意点があるため、見逃しのないようぜひ最後までご覧ください。

医院開業で後悔しないための立地選びのポイント

自院の標榜診療科やコンセプトなどによって、望ましい立地は異なります。そこで、よりマッチした良い物件を選ぶためのポイントを3つに分けて詳しくお伝えします。

交通の利便性が高い立地:医院開業成功の秘訣

電車やバスなどの公共交通機関でのアクセスがしやすい立地を選ぶと、より集患しやすくなります。最寄りのバス停や駅の位置や運行時間、運行本数を確認し、患者さんが通いやすいクリニックづくりに生かしましょう。

また、クリニックまでのアクセスが良好であることは、スタッフの集まりやすさや働きやすさにも影響します。

ただし、美容外科や心療内科、精神科のように、あまり人目につかない場所の方が適している場合もあります。アクセスの良さには配慮した上で、目立ちすぎない場所であることも念頭におくと良いでしょう。

患者さんやスタッフなどの人が集まりやすいクリニックを目指すために、アクセスの良さを考慮した上で物件を検討することが大切です。

競合を避ける:クリニック開業のための立地選定術

候補地の周辺に競合となるクリニックがないかどうかをチェックします。もし、あまりにも多い場合には、集患が困難になる可能性があるため、避けるのが無難です。

しかし、好立地であるほど、競合となるクリニックがゼロの状態で開業できるとは限りません。また、今はいなくても将来的に参入してくる可能性もあります。

もし、近隣に競合のクリニックがあったとしても、診療内容やサービス、施設設備、スタッフの技術力などで差別化できれば、集患できる可能性は十分にあり得ます。立地にこだわりつつ、クリニックとしての魅力を高める努力も経営には欠かせません。

医院の立地選定に必須!診療圏調査とは?

診療圏調査を行うことで、立地選定に欠かせない重要な情報を得られます。

自分でできる診療圏調査には、二次診療圏を目安に人口や男女比、年齢層などを調べることがあります。統計情報は各自治体のホームページなどで公表されています。

また、現地を歩いて回ることも欠かせません。希望物件周辺の様子や、競合のクリニックの有無と距離感、時間や曜日ごとの街の雰囲気などを確認します。「この辺りへ引っ越す予定なのですが、人気のある〇〇科のクリニックはこの近くにありますか?」などと通行人へ聞いてみるのも良いでしょう。「子供と一緒に通いやすい」「予約システムが便利」「待ち時間が長くて行きづらい」などの、生の声が聞けるかもしれません。

さらに「エリアの人口×受療率÷(診療科目別の競合医院数+1(自分のクリニック)」によって、推定患者数を算出することが可能です。

診療圏調査について、自分で現地を回ったり計算したりすることはとても大切ですが、これからの動向も踏まえてより精度の高い調査を行うためには、経験と実績のあるプロに相談するのもおすすめです。不安な方は、早めに相談してみると良いでしょう。

都心VS郊外:医院開業の立地でのメリット・デメリット比較

クリニックの開業地を選ぶ際、都心にするのか郊外にするのかによって、得られる恩恵や力の入れどころが全く変わってきます。利便性の高い都心か、もしくは思い入れのある土地で地域医療に貢献できる郊外か、などどちらにするか悩まれる医師は多いです。

まずは、都心と郊外のそれぞれのメリットとデメリットを確認しましょう。

メリット デメリット
都心 ・立地が良いところも多く集患しやすい
・スタッフ募集をかけた際に人が集まりやすい
・競合がいたり参入してきたりするリスクがある
・初期費用やランニングコストが高め
郊外 ・開業や維持するためのコストが低めである
・競合が周辺におらず集患に苦労しないこともある
・将来性のあるエリアかどうか慎重に検討しなければならない
・患者さんやスタッフの交通面の利便性に配慮が必要である

都心と郊外を比較してどちらが良いかは一概には決められません。院長の好みや診療内容などに左右されます。開業地で集まりやすい人の男女比や年齢層と、標榜診療科との相性の良さも影響します。自院の特徴を念頭に置きつつ、開業エリアを定めていきましょう。

開業医必見!クリニック物件選びで後悔しないためのポイント

クリニックの物件選びには、ある程度失敗のパターンがあります。失敗を避けるためのポイントをここでは3つに絞ってお伝えします。

  • 医院開業時の物件選び:見つけやすさで集患力アップ
  • 医院物件の間取りと広さ:患者の快適さと診療効率を両立する方法
  • 開業医向け:患者が迷わない入口とアプローチ

集患や診療業務で苦労しないためのより良い物件選びに、ぜひ役立ててください。

医院開業時の物件選び:見つけやすさで集患力アップ

物件選びをする際には、患者さんや街の人などからクリニックを見つけてもらいやすいかどうかを考慮します。

見つけやすい場所に構えていれば、ふと気になる症状が現れたときに多くの人からクリニックの存在を想起してもらいやすくなります。患者さんに寄り添えるだけではなく、広告活動を頻繁に行わなくても良いという恩恵も受けられるのです。

さまざまな物件の中でも、戸建や商業施設のワンフロアに入居していれば、クリニックをより見つけてもらいやすいです。一方で、いくら立地条件が良くても、ビルの中にあり、看板が表に出ていないようだとクリニックの存在をアピールすることが難しくなるので要注意です。

医院物件の間取りと広さ:患者の快適さと診療効率を両立する方法

世の中に出ている全ての物件が、クリニックに向いている訳ではありません。まず、最低限必要な間取りになっているかどうかを確認します。スタッフと患者さんのそれぞれの動線を確保できるかどうか検討しましょう。物件によっては、改修工事によって間取りを変えられる場合もあります。

また、待合室や診療スペース、カルテなど重要な書類を保管する空間を十分に取れる広さが必要です。将来的に医療機器を導入したり、スタッフの数を増やしたりしたい場合には、空間に余裕を持っておくと安心です。

開業医向け:患者が迷わない入口とアプローチ

物件選びの場合には、患者さんがクリニックに迷わずたどり着けるかどうかをチェックしましょう。あまりに入り組んでいたり、建物の入り口が分かりにくかったりする場合には、患者さんが苦労します。

あまりに入り口が見つけづらいと、最悪の場合、患者さんが到達できず来院数を増やせないこともあり得ます。頻繁に通うならまだしも、期間を空けて通ってもらう場合、患者さんがその都度迷ってしまい、最終的にクリニックから遠のいてしまうリスクもあります。

看板や、ホームページなどでの案内によって分かりにくさを解消できるケースもありますが、ご不便をおかけしないためにも、なるべく入り口が分かりやすい物件を選ぶ、もしくは分かりやすいように設計することが望ましいでしょう。

クリニック開業のための物件タイプ一覧とその特色

クリニック開業の物件タイプには、戸建、テナント、クリニックモールの3つがあります。それぞれのメリットやデメリットは以下の通りです。

物件タイプ メリット デメリット
戸建 ・建物や内装などに関して理想を追求できる
・土地や建物が自分の資産になり得る(購入した場合)
・開業までの準備期間が長めにかかる
・自由がある反面、設備の法的な面や薬局の誘致など責任が問われる部分も多い
テナント ・好立地の物件も多い
・コストを比較的低めに抑えやすい
・大家の事情によって退去のタイミングなどが左右される
・クリニック特有の条件を満たす物件と出会いづらい
医療モール ・クリニックの開業に適した土地、建物、設備(駐車場やトイレなど)を得られる
・医療モールに開業するだけで広告宣伝効果がある
・競合のクリニックが身近にいる、もしくは参入してくるリスクがある
・他のクリニックやそこの評判からの悪影響を受けることもある

戸建物件においては、購入した土地や借地にクリニックを建てて開業します。既に建設済みの建物を借りる、建て貸しによってクリニックを開業することも可能です。戸建物件は、同じ敷地内に自宅を建てる自宅兼診療所を構えるケースもあります。

テナントで開業する場合は、ビルの1室などを使います。特に都心部においては、一般的になっている方法です。

医療モールは、敷地内に複数のクリニックが集まっているところです。駐車場を共有することになるなど、モールのルールや周辺のクリニックの影響を受けながら自院を経営することとなります。

クリニック開業を成功させるための居抜き・承継物件の選び方

クリニックの開業を進める上で、居抜きや承継物件を検討する人は年々増えています。ただし、選び方にはコツがあります。のちに大きな後悔をしないためにも、居抜きと承継物件の違い、前のクリニックの評判のチェック、大家さんとの繋がり方という3つのポイントにフォーカスして、それぞれについて詳しく解説します。

クリニック開業時の大切な選択:居抜きか、承継か?

居抜きと承継、それぞれについて解説します。

まず、居抜きとは、以前にクリニックとして使われていたまま、建物や内装が残っている物件です。自分の好みに応じて修繕はできますが、一から施工しなくて良い分、コストがかからないという特徴があります。

一方の承継は、建物や内装に加えて、既存のスタッフや患者さんを引き継ぐこともできます。スタッフや患者さんの意思にもよりますが、スタッフ採用や集患の労力が少なくて済みます。

ただし、承継の場合、既存のクリニックの方針や雰囲気を変えない方が良いのか、もしくは変えた方が良いのかを判断しなければならないことや、のれん代が発生することもあるなどの注意点があります。

医院再開業前の必須タスク:前経営者の評価をリサーチ

居抜きでも承継でも、開業前に経営されていたクリニックの評判を知ることは重要です。評判の良し悪しは、自分のクリニックの評判にも影響しかねないためです。

例えば、承継開業の場合、開業前のクリニックのスタッフの評判が良くなければ、新たに採用し直した方が良いかもしれません。また、開業前のクリニックの良くない評判が浸透している場合、全く関係のない人物が開業したとしても、集患に苦労するリスクがあります。

居抜きであっても承継であっても、前の経営者やクリニックの評判を確認し、知らないうちに悪影響を受けないように注意します。

医院承継時の賃貸契約:成功のための大家との関係構築

良い物件を見つけたら、次は大家さんにクリニックの開業について理解してもらい、賃貸契約を結ぶことを了承してもらわなければなりません。

そこで、賃貸契約をスムーズに進めるために、開業前のクリニックの院長にお願いして大家さんを紹介してもらうという方法があります。すでに大家さんと繋がりのある医師からの紹介であれば、より理解をしてもらいやすくなるかもしれません。物件や契約に関して要望があればなおさらです。

また、契約後も修繕や増築などのさまざまな場面で大家さんにはお世話になります。良い関係性を築くためにも、前の院長につないでもらうことがおすすめです。

まとめ

今回は、クリニックを開業してから軌道に乗せるための立地選び、都心や郊外それぞれの特徴、物件の種類ごとのメリットやデメリット、居抜きや継承物件に関してお伝えしました。

好立地であることは、クリニックの知名度を上げて患者さんやスタッフを集めるために有効です。車や公共交通機関を使って通いやすい場所にあれば、より喜ばれるでしょう。ただし競合が多いため、自院の魅力を高める取り組みは常に欠かせません。

候補の物件やエリアがあれば、診療圏調査をするのがおすすめです。各自治体が公表している人口の統計データを参考にしたり、自分の足で現地を回ったりして、自院のコンセプトや方針とマッチするか検討します。開業に関するコンサルの経験と実績のあるプロに依頼すれば、より深く検討できるかもしれません。

また、都心と郊外、それぞれメリットとデメリットがあります。候補地のさまざまなデータを参考にしつつ、これまでの経験や想いが経営に生かされるようにより良いエリアを選定しましょう。戸建やテナント、医療モールなど、物件のタイプには種類があるので、地域に馴染みつつ自院の良さを発揮できるものを選びます。

さらに、近年では居抜きや承継物件も候補に上がる頻度が増えています。前院長や前クリニックに関する理解を深めた上で物件を検討することが大切です。特に承継開業の場合には、賃貸契約をスムーズに進めるためにも、前院長と良い関係性を築けたらなお良いでしょう。

アットクリニックは事業用物件を長年不動産業界で取り扱ってきたアットオフィスグループの1社です。そのためクリニック開業に至るまでのライフプランに寄り添い、開業時の立地選びのコツや物件選びのコツをしっかり抑えたサポートが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

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