信頼できる仲間と役割分担で理想の院内に
AC:内装など、院内でこだわったポイント、気に入っているところを教えてください。
気に入っているのは広大なリカバリールームです。あとは、僕が閉所恐怖症気味で狭い空間が苦手ということもあって、一つひとつの内視鏡室も広くとりました。この2か所はとても満足しています。
正直なところ、それ以外の部分は、信頼している看護師さんにすべて任せていました。
開業までには決めることが本当にたくさんあります。たとえば、壁紙やカーテンの色、棚の高さなど、細かいことをひとつひとつ自分で判断していたら、本業が回らなくなってしまいます。
医療の中核となる部分には自分がしっかり責任を持ちますが、それ以外のことは人に頼りながら進めていきました。
AC:物件が決まったあと、医療機器の導入や人材の確保などいろいろあったかと思いますが、何が一番大変でしたか?
今回の物件は築年数が古く、間取りも少し特殊だったこともあり、内装の図面作成には特に苦労しました。
見慣れていないこともあり、図面を見ても完成後のイメージがなかなか湧かず、たとえば、「ここは160センチ」と書いてあっても、それが実際にどのくらいの幅なのか、広いのか狭いのかピンとこなくて、とても苦労しました。
AC:これから開業をする人へのアドバイスをいただけますか?
先ほどの「大変だったこと」とも関連しますが、今回特に感じたのは「1週間は必ずしも7日間ではない」という現実です。
私は今年の3月まで大学勤務で、週7日体制で動いていました。しかし、多くの企業や業者さんは土日が休業日です。そのため、月曜の朝にいただいたメールを私が確認できるのは月曜の夕方。結局その日は何も進まず、実質的な対応は火曜日からになります。 また、金曜日の15時頃にご連絡をいただいても、私が確認するのは17時過ぎ。すぐに返信しても、先方が動けるのは週明けの月曜日です。
こうしてみると、カレンダー上は1週間に7日ありますが、実質的には4.5日〜5日程度しかやり取りができないという感覚を、今回あらためて実感しました。
AC:「働き方改革」により、土日休業の企業が増えた影響も大きいですよね。
本当にその点には苦労しました。たとえば、4つの関係先に連絡をして、そのうち3つからはすぐに返信があっても、1つだけ返答がないと次のアクションが取れない。結果として、全体の進行がストップしてしまうこともありました。
もちろん、相手が患者さんや気心の知れた方であれば「早めにお願いします」と伝えることもできますが、業者さんや初対面の方にはそうもいきません。その点、アットクリニックのご担当者はレスポンスが非常に早く、安心して進めることができました。
今回の経験を通じて、人を介して業務を進めるということは、想像以上にスケジュール管理とコミュニケーションが重要だということを学びました。
実際、これから開業を目指す後輩にも「土日に動ける体制を整えておいたほうが良い」と伝えています。また、常勤の仕事を続けながら開業準備を進めるのは非常に難しいため、少なくとも3か月前には退職して準備に専念することをおすすめしています。