開業支援実績

15年目の転換期、勤務医から開業医へ

アットクリニック（以下AC）：まずは診療科目を教えていただけますか。

診療科目は耳鼻科、アレルギー科も診ています。

AC：開業してからの率直なご感想をお聞かせください。

開業後は想定よりも多くの患者さんにご来院いただいていて、今のところ大きく困ることは少なかったと感じています。早い段階で忙しくなった分、スタッフには少し負担をかけた部分もあったかもしれませんが、皆が協力してくれたおかげで、全体としては比較的スムーズに立ち上げられたと思っています。

AC：当初の想定を上回る患者さんが来院された理由について、どのようにお考えですか？

立地の良さも影響が大きかったと感じています。通りから見える目立つ場所にあるので、地域の方に気づいていただきやすかったのかもしれません。医療モールという環境なので、小児科の先生から患者さんを紹介いただくこともあり、相乗効果は多少なりともあるのではないかと感じています。

AC：開業を考えたきっかけは何だったのでしょうか。

開業を考え始めたのは医師として15年目を迎え、そろそろ次のステップについて考える時期だと思っていました。もともと「何歳までに開業しよう」と明確な目標を持っていたわけではありませんが、勤務医としての経験を重ねる中で、その時の状況や自分自身の働き方について見つめ直す機会がありました。そうした中でいくつかの要素が重なり、「診療を引き継ぎ、動けるのは今かもしれない」と思うタイミングが来たことが大きかったです。

初めての経営、マーケティングの壁を越えて

AC：物件選定にあたり、特に重視したポイントは何でしょうか？

鈴木様：特に重視したのは、近隣に耳鼻咽喉科のクリニックがないかどうかです。実際には一都三県の広い範囲を候補として見ていて、周辺の環境や人の流れ、街の雰囲気といったことも含めて絞り込んでいきました。もちろん、診療圏調査も行い、気になるエリアについては実際に足を運び、平日の人の流れや周囲にどのような施設があるのかなども、自分の目で確認しました。

AC：立地や内装でのお気に入りのポイントをお聞かせください。

緑豊かな雰囲気がとても気に入っています。内装については、キッズスペースを設けたのは良かったと思っています。受付も広く設計できたことで、患者さんにもゆったりと過ごしてもらえるのではないかと思っています。

AC：開業後、経営者になってから、どんなことが一番大変だと感じましたか？

特に大変だったのは、やはりスタッフ選びです。どのような方に来ていただくのが良いのか、自分の中でも非常に悩みました。初めての採用ということもあり、不安も大きかったです。実際には、看護師も医療事務も耳鼻咽喉科の経験がない方がほとんどでしたが、本当に良い方々に恵まれ、今は助かっています。

採用面接は喫茶店で行ったりして、一人ひとりとしっかり話すように心がけました。非常勤の方で直前に来られなくなったケースもありましたが、常勤スタッフがしっかり支えてくれて何とか乗り越えることができました。

AC：経済的な面で不安やプレッシャーを感じることはございましたか？

開業当初はローンの返済などもある中で、「スタッフが辞めてしまったらどうしよう」といった不安も正直ありました。ただ、現在はスタッフ同士の関係も良好で、信頼関係も築けてきたように思います。結婚や出産など、何かあった時も早めに相談してもらえる体制になってきたのではないかと感じ、その点での心配は少なくなっています。

現在の課題の一つは、経営を安定させるための取り組みです。固定費は避けられないため、収益をどのように伸ばすかを前向きに検討しています。これまで売上は比較的順調に推移しており、今後はスタッフの待遇向上も目指していきたいと考えています。

AC：マーケティングなどの面はどうされていますか。

SEOやMEO対策はしっかり行っています。大々的な広告はしていませんが、少しずつ口コミで来院してくださる方が増えてきていて、そういった積み重ねをこれからも大切にしていきたいと思っています。

不安を乗り越え、成功への道を拓くために

AC：これから開業される先生にアドバイスや、こうしておいてよかったなと思うことをお願いします。

開業してみて感じたのは、想像以上に大変なことが多いという点です。開業直後は、患者さんが来てくれるかどうか分からない状況の中でスタッフを雇い、人件費や設備費といった固定費が先に発生するため、金銭面での不安やストレスが常にありました。

そうした中で、私は業者とのやり取りをできるだけ自分で行い、自分で調べて動くようにしていました。その結果、相場観が身につき、必要なコストも把握できるようになり、経営の勉強にもなったと感じています。どこまで自分で行うかは人それぞれだと思いますが、私にとってはこのやり方が良かったと思っています。

AC：経営面については、今後どのようなお考えをお持ちですか？

経営面では、診療報酬の改定などによる変化にも柔軟に対応していきたいと考えています。たとえば、検査体制の見直しや診療の効率化など、無理のない範囲で改善を進めていく予定です。

地域に根ざした誠実な診療を目指して

AC：耳鼻咽喉科について、クリニック自体は増えてきているかと思いますが、これからどうなっていくと思われますか？

私は耳鼻咽喉科の患者数が激減するということはないと思うので、淘汰されることは少ないと思っています。結局のところ、大切なのは誠実に診療を行うことだと考えています。対応が悪ければ患者さんは離れてしまうかもしれません。きちんと誠実に診療していれば、自然と患者さんが来院してくれると思ってます。

AC：最後に、今後の展望についてお願いします。

今後も、地域の皆さんに信頼されるクリニックであり続けたいと思っています。開業後は患者さんからのご紹介も少しずつ増えており、地域とのつながりを日々実感しています。耳鼻咽喉科は内科のような“かかりつけ医”の存在とは少し異なるかもしれませんが、必要なときにいつでも頼っていただける存在でありたいです。

AC：本日は貴重なお話をありがとうございました。